① 一石全鳥、全体最適を実現する漏水工事

水道局から漏水を打診されたので工事業者に修繕を依頼した。検査の結果、破損個所は風呂・台所周辺の水道管(床下)と診断されたが、驚くことに工事は一日で終了するという。

その工事内容が品質工学的だったので紹介する。

 1)破損個所の特定や修繕は一切しない ⇒ 原因の追究や品質問題の解決ではない

 2)工事は新しい水道管を設置するだけ ⇒ 基本機能(水の供給)を改善する

破損した古い水道菅はそのまま放置(床下や地中)され、工事は予定通り一日で終了した。まさしく一石全鳥の全体最適を実現した事例である。あっぱれ水道業者!

 

② MTシステムを彷彿させるSFアニメ

アニメの舞台は未来の日本。そこでは人間の犯罪可能性を数値化(犯罪係数という)するシステム(人工知能 AI)が開発され、あらゆる犯罪を未然防止できる安全な国を世界にアピールしている。しかし、そのAIが機能しない犯罪者が現れる。極悪犯にもかかわらず、犯罪係数は善良市民レベルなので、それを取り締まる公安官は手出しできない。アニメはその犯罪者をめぐる公安官の物語だが、その結末がMTシステムを彷彿させる。AIが誤判定する犯罪者のデータ(実際は脳)は、判定精度の改善に利用するべくシステムに取り込まれるのだ。これはMTシステムでの誤判定への対処と同じ。単位データもしくは信号データとして利用し、新たな距離の計算アルゴリズムを構築する。

 

③ゴルフは再現性のスポーツ

これはゴルフ友達から教わった言葉である。元々はプロゴルファーのユーチューブチャンネルから仕入れたとのこと。ゴルフは直径数センチのボールを数百メートル以上離れた場所へ運ぶスポーツである。何よりも打球の正確性が求められるが、ゴルフ場では風向きや気温、地形が様々に変わる上に、遠くまで飛ばした、良いスコアで回りたいという欲望が邪魔をして、その方向や飛距離が大きくばらつく。原因はスイングが微妙に変化することにある。つまり、スイングの安定性、再現性が重要なのである。様々な状況下でも良いスイングが再現できれば打球は安定する。地形や天候、様々な欲望などの誤差因子に負けない、ロバストなスイングの獲得こそ、ゴルフ上達の極意と言える。ただ、それが難しい。(笑)

 

④家電製品の寿命と損失関数

購入して10年ほどになる冷蔵庫が故障した。冷蔵庫の設計寿命は10年程度と言われるので、ほぼ設計の狙い通りである。幸いにして買い替えがスムーズだったので、大きな被害は受けなかったが、時と場合によっては厄介な事態、大きな被害を受けていただろう。品質損失の発生である。いかなる製品でも設計寿命を越えて長く利用できることは嬉しいことだが、冷蔵庫や洗濯機、湯沸かし器などの日常生活に不可欠な製品では、故障時の損失が大きくなるため、総損失(製品コスト+品質損失)から考えると、必ずしもそうとは限らないのだ。寿命延長による製品コストの削減額と、故障発生による品質損失との比較が必要である。